経験者が教える!屋根塗装の際に知っておきたい、タスペーサーの正しい使い方・相場とは
屋根塗装・リフォーム 種類・方法
1 はじめに 屋根塗装を進めるとよく出てくるタスペーサー
我が家では、築後11年目に外壁塗装と屋根塗装を一緒に行いました。ちなみに我が家の屋根はスレート葺です。
その際、夫と業者さんの会話の中で、「タスペーサー」という聞きなれない単語が出てきました。
その時「いったいなんのことだろう?」と疑問に思ったのですが、結果的に今回の屋根塗装では、そのタスペーサーは使われなかったので、そのことについてはすっかり忘れていました。
しかしこのタスペーサー、1回目の塗装塗り直し時には必要ないのですが、2回目以降には必要になることがあるのです。
では、具体的にタスペーサーとはどういうものなのかをここでご紹介しましょう。
2 タスペーサーとは
屋根材として普及率の高いスレート葺。のことを指します。
別の呼び方として、「コロニアル」「カラーベスト」などというものもあります。これらは、もともと素材名ではなく特定メーカーの商品名でしたが、
市場でのシェア率が高かったので、商品名がそのままスレート葺屋根の代名詞として使われるようになったのです。
スレート瓦は、瓦同士の隙間から水が入ると瓦の下を通ってそれが排出される仕組みになっています。
しかし、屋根塗装を施す時に塗料でその隙間が塞がれてしまうことがあると、水が排出できなくなります。その結果どうなるかというと、水が建物の中に浸出し始めるのです。
隙間を塞いだ塗料を切り取り、瓦同士の縁を切る際に用いられる道具としては、スクレーパーやカッターなどが以前は使われていました。
しかし現在最も効率良く縁切りを行える道具として、タスペーサーが使われるようになっています。
3 タスペーサーの正しい使い方
従来の縁切り工法と比較すると、タスペーサー工法は屋根材の隙間に手差しをするだけで良いので、作業にかかる時間が短縮できます。
タスペーサーには、屋根材の劣化進行度にあわせてそれぞれ型の異なるものが存在していますが、劣化度がどの程度のものであってもタスペーサーを挿入する前にはまず下地の調整が必要になります。
具体的に言うと、これは「ひび割れたり欠けたりした部分を埋める」「下地への吸い込みを抑えるなどの処置をする」ことです。
こうして下塗りを施したら、十分に乾燥させます。それからタスペーサーを挿入していくのです。
挿入方法ですが、屋根材同士の合わせ目から、水平方向に約15㎝離れた左右に手で差し込んでいきます。(屋根材1枚あたり2箇所が目安です。)
一般的な二階建ての住宅で、平均1000個前後のタスペーサーが使用されるということです。
なお、手で挿入が困難な箇所(屋根材同士の重なっている部分の密着度が高い、など)には、エスパッターと呼ばれる補助工具を使う場合もあります。
作業にかかる時間は約2時間~3時間。従来の縁切り方法では、平均して職人2人で作業しても、まる1日はかかりますし、コスト的にもタスペーサーより高目でした。
タスペーサー挿入作業が終わったら、次は塗料の中塗り、最後に上塗りとなります。
タスペーサーの強度については、様々な実験結果が出ており、強風や上から重さがかかった場合にも耐久性があることが証明されています。
ただし、十分な性能が発揮されるためには、野地板(屋根材を支えるために張る板)がしっかりしていることが前提となります。
4 タスペーサーの相場とは
タスペーサーそのものの単価は、一個あたり10円~50円ほどです。
一般的な二階建て住宅(30坪)を想定した場合、使用個数は約1000個前後。費用は30000円~50000円が相場となります。
なお、20坪の場合は使用個数約700個、費用は約21000円~、25坪なら使用個数約850個、費用は約26000円~が目安となっています。
従来の縁切り工法ですと、同様の条件で作業した場合、費用は30000円~50000円となり、材料費だけでなく施工費を上乗せされることもあります。
相場はこのようになっていますが、業者によって多少の差があるようですので、必ず相見積もりをして内容をよく比較・吟味してください。
5 まとめ
いかがでしたか?ここでは屋根塗装の際によく出てくるタスペーサーの使い方、相場についてご紹介をしてきました。実際にタスペーサーを使う際の参考になれば幸いです。